"私にはあなたでした。"





テレビから聴こえてきたそのフレーズに私は手を止めた。



映画の予告というのは

まぁうまく出来ている。


というか、

そうするための予告なわけで、

観たいと思わせなきゃいけないのだから。



そんな、意味のない事を頭に思い浮かべながら、

ふと、部屋を見渡す。



テレビの横に無造作に置いてあるDVDは全て"彼"が好きだと言った映画達だ。



あの頃、"彼"が好きなものは全て好きになった。

映画だって、ワインだって…。



彼の好きなものに興味があっただけで

映画の内容なんて然程、私には関係なかった。



"私にはあなたでした。"



こんなフレーズに止まってしまうなんて馬鹿馬鹿しい。

わからない何かに期待するなんてもうとっくにやめている。




私にとってあなたでも

彼とって私でも

もう関係ない事で、そんな事はもうどうでもいいはずなのに、


だけど、思い出してしまうのは


私にはあなただったからのだろう。




ふと我に返って、自分で自分の事を鼻で笑い、

さっきまで読んでいた雑誌をまためくり始める。



時計は日付けをかえていた。

土曜日、am.1:05



言葉が好きです、たぶん。

このブロガーの新着記事

12

11

10

09

08

クリエイター の新着記事

すべての新着記事

Now Loading...