9月3日、千秋楽。
キ上の空論による
「青の凶器、青の暴力、手と手。この先、」

を観劇しました。
前情報0での観劇。
舞台上には額縁のようなガラスのない窓枠のような扉のないドア枠のようなたくさんの縁/枠が。
学校、部活、友達、なんでもない会話、先輩、女子、男子、いつもイライラしている捉えどころのない変り者の女の子。
誰かの今日、誰かの明日、それぞれの日常。
おもい。
とっつきにくいあの子の家には介護の必要な祖母と介護に疲れた姉が待つ。
途中まで介護とか家族とかそういった話なのかと思ったり、それを機に事件を起こしてしまう話なのかと思いながら観ていました。
レズビアンの経営するお店、
余命わずかな男の子、
劇団の演出家の女性、
同級生、友達。
たくさんの人々がそれぞれの人生を生き抜いている中でその人たちに起きていることを他人がどれだけわかれるだろうか。
良かれと思って行動したことで相手を傷つけてしまったり。
わかってもらえないと思いながらわかってくれよとあがく。
そして最後にとっつきにくいあの子、葵に起きていた現実。
3月11日東日本大震災。
海から押し寄せる津波。
疎ましく思っていたはずのお姉ちゃん。
お姉ちゃんだって自分を疎ましいと思っていたはずだった。
それなのに自分にだけ生きろと言った、走れと言った。
家も家族も日常もこれから来るはずだった"みんなと同じ当たり前の日々”全部が津波にさらわれた。
あの日のこと、思い出したくないのに。
大切だったものはみんなあの日にあった。
どうやって生きたらいい。
舞台って一方向からしか見ていないしテレビや映画のように場面がカットで変わるわけじゃない。
そこでしか繰り広げられていないのに演技、照明、音楽でテンポよく変わっていく場面。
舞台セットも大きく変わらないのにどこにいて何時ごろなのかシーンが違和感なく目に見える。
演出の効果、面白さを感じました。
SNSで知り合ってはいたものの実際にお会いするのは初めてだった岩井七世さん。
いつか演じられる舞台を観劇してみたいと思っていた折宣伝写真のフォトグラファーがan/eddyのビジュアル撮影でもお世話になっているひでぽんこと三宅英正さんだったこともあり背中を押されて観劇できました。
後からメイクは豊田さん、スタイリストは小山田さんと多くの知り合いが関わっていたことも知りました。
岩井さんが演じたのは葵の姉の茜。
コミカルなシーンや掛け合いの多い劇中で茜の登場シーンは葵にとっての暗く重い暴力的な記憶。
とてもシビアで緊張感と圧力がある。
けれど最後に今日を明日を生きることから人と関わり築いて行くことから逃げる葵の手を掴んで離さない、離さない、離さない。言葉じゃないその手から手へ伝わる想い、願い。
そのシーンに胸を打たれました。
観劇したのは千秋楽でしたがこれを何公演もテンションを保ち演じることのすごさを思いました。
岩井七世さんと観劇後にお話できました。

フォトグラファーのひでぽんは同い年。