ツーっ。

ツーーーーーっ。

い、痛い。

 「死ぬかと思った!こないだ話したさ。例の彼んちから、今日直で来たんだけど。電車乗った時くらいから、なーんか、なーーーんか、お股がジリジリィ。焼かれてるような。で、超痛いんだよね。駅に着いてから一回トイレ行って出し切ったのに、またすーぐ行きたくなるんよ。あ、また!やだぁ。お店、先入ってて!」時計は10時10分前を指している。

 「トイレ我慢したんじゃないの?最近あんま寝てないって言ってたけど、疲れてるんじゃなーい?」

 カップラーメンの在庫の数を確認しながら心配してくれる、同期のNちゃんの声を背中に感じながら、私は事務所の奥にある小汚い個室にチェックインした。便器の蓋を開け、まだ少し湿っぽいパンツを太ももにかける。

 ジャーーー

 だーーーーーーぁ。ここは、生き地獄か!初めて感じる痛み。この世の痛みは陣痛以外に知らないぞ!ってまだ未経験だけど。ヒッヒッフーとやってみても、不慣れなので呼吸と体の動きがチグハグ爆。しかも、そのかけ声、子供産む時のだし。


 便座に腰をかけ私はぼーっと考える。あーあーあー今日仕事にならないなー。でも、なんで急にこんなことになったんだろう。病気なのか??どうしよ。親に言えないしな。とりあえず、病院行ぐが。保険証取りに帰らなきゃ。メンディー(面倒)な。バイト17時までか。って今来たばっかだよ。どうでもいいけど、ここ超暑いんですけど。たぶん、あのケチな店長が空調切ってるせいに違いない。チッキショー。


 どのくらいいたんだろう。緊張と緩和を繰り返して、ようやく黄泉の国から這い上がる準備が整った私。汗ばんだ両手を洗い、蛇口をキュッと閉める。濡れた手で扉を開けるタイミングで鏡と目が合った。鼻の下に大量の小さな雫が整列し、顔色は弥生土器してる。ブサイク~。

 「店長、すみません。。。(モジモジモジ)大変申し訳ないのですが。(モジモジ)お腹が痛いので(モジモジモジ)今日帰ってもいいですかっ?」

 膀胱炎。原因は、セックスです。疲れてたり、トイレを我慢すると発症するとか言われてるけど、嘘です。果てたのち、彼の腕の中で寝たからです。しかも裸で!


 これ、ずいぶん昔の話なんだけども。膀胱炎は、女性の四人に一人が経験してるとか。女性の尿道は膀胱と四センチほどしか離れていない為、体の外からの菌が尿道をさかのぼり、インしやすいからだそうな。だから、尿道の長い男性に比べて、女性は膀胱炎になりやすいし、慢性的になり悪化した末、入院てことになる場合もあるらしい。こわーーーい!

 えー、ですのでー、大好きな彼と愛し合ったら、できればシャワーを浴びて清潔に。それがダルければ、せめてトイレを済ませ鬼菌の逆流を防ぐ。丸まったパンツはちゃんと探して、ぽんぽんを冷やさないように布団をかけて寝よう。というか、そこまで男が気にかけろし。いやいや~ケアされる女性になりましょう!が正解か。


 なぜに昔の恥ずかしい話を引っ張り出してきたかと言うと、最近、二十代の乙女たちからこの話を聞く機会が立て続けにあったから。

 昔の自分を重ねつつニヤニヤ。彼とお盛んなんだなぁとニヤニヤ。セクシャルな絡みシーンを想像できない子だって、やってんのよねーとニヤニヤ。その話を聞いてる時の私、悪い顔してただろうな。

 

単純に「羨ましいな。」と思ったんだよね。33歳彼氏なしの私からすると。膀胱炎が羨ましいのではなく、膀胱炎の先に見える異性の影がね。悲しいかよ笑

 無防備にすべてを委ねる誰かが、この先現れるのかすごく不安。出会いはまーまーあるけど、仕事で知り合った人にグイグイ行ける年頃でもなく。名刺交換をして「いいな。」と思った人をFacebookで検索したら、家族の顔面が丸出しになっていたこともある。指輪つけとけし。


 朝までオールしてた頃に比べ、一目惚れは減った。優しい男性も周りに自然と増えた。友達から始まる恋愛もしてみたいと思えるようになった。けど、まっすぐに引かれた白線の上で手を広げ、はみ出さないように慎重に「右、左」とバランスをとって歩く習慣がついてしまった今。そんな風に歩いていたら、どー考えてもはみ出さないよね。いや、はみ出せなくなってしまった。だって失敗したら、 そのあとの尻拭いをやらなければならないという手間。

 これが大人の女性になったということだろうか。小さなミスをしても、失敗してないように見せるのが上手になったから?人前で大失敗なんてここ数年してない。「してたまるか!」と、急にオラオラ系になったりしてみる。失敗しないと何が悪いかも検証できないのにね。

 もう一度あの頃のように無防備になって、痛い苦い経験ができたなら「膀胱炎になったぁーーー!」ってスクランブル交差点の中心で叫んでみようか、ドヤ顔で。そうすれば、うまく見せようと必須になっている自分から解放されるかもしれない。

 その時、私のように悪い顔をした女性たちがこちらを見てニヤニヤするのかな笑

 

 最後に。接客業などをされていて、日常的に四番を我慢しなきゃならない方。やむを得ず膀胱炎になる場合もあると思います。該当する人がいたら、決めつけてごめんね。とゆーか、ニヤニヤしてしまった該当の乙女達にもごめんなさい笑

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東京都出身。Singer l Songwriter
「一人で生きることを決めたわけでもなく、二人で生きることを諦めたわけではない。」タイプの大人女子集まれー!

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