眠れない
ずっと眠れない
隣で眠っていてほしい
そういうときに思い浮かぶのは彼ではなくて、
やはり私は今の生活を必要としてるのだと再調する
彼は本当にすぐ記憶が抜け落ちる人で、
私の身長を何回も聞く
この何年で数回しか会っていないけれど
そのたび聞かれて答えると、良いなあ
一番良い、毎回そう言われる
そうして私は別に高くもないし本当普通やけど
もっと小さいほうが良かったと答えて
俺は今が一番良いと思うと言われる
何回これをしたことか
この間会ったときも繰り返した
顔にほくろが多いこともよく褒めていた
私の名前も同じように、昔から良いと言う人
ん、と名前にあるのが良いとか
全部丸い感じが良いとか、漢字で書いたときの
漢字の感じも良いとか
私が好きではない名字も褒める
フルネームで私の名前を言って、全部が良い
そう言う人
でも私は好きじゃないから思わず、
本当はこの名字だった、と家の話をしてしまうと
とても驚いていた
本当はそうなるはずだった私のフルネームも呼んで、これも良いなあ
そう言って何回か呼んでいた
特徴とか身長とか名前とか、
そういう受け止めるしかない、自分の持って生まれた代えられようのない事実ばかり、しっかり摘んで褒める人
特徴や身長や名前なんて、私が私として生まれたというもうそのもののようなこと
私がしたくしてしたわけではない、与えられてただ受け止めただけの自分