なにもかもが現実的ではなかった
久々に一人で行った東京はあの頃と変わらずの
人の多さで、思ったより道を覚えていた
思っても見なかった連絡に、一気に私が今
東京にいるということを自覚させられた
迎えに来てもらったり待ち合わせをすること自体、非現実的だった
ちゃんと顔を見たことが、彼が幼すぎる頃しかなかったのに遠目でもすぐに分かった
歳も時間も感じなくて、信じられないほど
ゆっくりしっかり自分の言葉で自分の話ができた
そしてそれを聞いてくれた
歯の大きさや真っ直ぐ並んでいるのに独特な感じや、肌の表面の感じ、髪に含む空気の多さ、自分の指の使い方や話し方、あまりにも似ていた
だからこれは夢だと思った
同じ顔で私の話を聞いて向かい合ってご飯を食べる
こうやって彼とも、いれたら良かったのに
そう思ってしまうほど自然だった
もっと前からずっと長く付き合ってきたくらい自然だった
行きたいと思わなかったら自分で誘っていないと笑うところや、芯のようなものがあってそれを軸に意見があるところ、それも同じだった
唯一だと思う
唯一私と同じ温度で彼の影響を受けて大人になった人
交わることがないと思っていた
そんな人にあんな嬉しいことを言われた
帰りながら新幹線で少し泣いた
人に褒められた中で、人生で一番嬉しかった