先日、テレビで50代が聞く失恋ソングというランキングというのがやっていて、浜田省吾の「もうひとつの土曜日」がたしか1位をとっていた。
気になって聴いてみたら、確かに良い。1986年の歌だというのに、歌詞の情景がとてもリアルに浮かび上がる。向かいのテーブルに座って笑う彼女から「瞳ふちどる悲しみの影」を見出すところとか、その表現力がすごい。
中でも特にすごいなぁと思ったのが「もう彼のことは忘れてしまえよ まだ君は若く その頬の涙 乾かせる誰かがこの町のどこかで 君のことを待ち続けてる」という歌詞。
「その頬の涙を乾かせる誰か」って、普通に伝えるなら「その頬の涙を拭いてくれる誰か」と考えてしまう。けど、あえて「乾かせる誰か」と書いている。それは彼女自身が泣き止むということで、立ち直ることを意味している気がする。別れた恋人への未練や複雑な思いを、彼女が自分で整理をつけられて「これでよかったんだ」と思えるような。そしてそれは暗に、「俺は弱さにつけ込むようなことはしない」と言っているようで、その男気もとてもかっこいいです。
そういえば、ミスチルの「君が好き」という歌でも「僕の手が君の涙拭えるとしても それは素敵だけど 君もまた僕と同じような 誰にも踏み込まれたくない領域を隠し持っているんだろう」とある。
涙は自分で拭くものですね。
