久しぶりに会社に行って、なんか、別に悪いことがあったわけじゃないのに、一人ソファーにぐったりして何もしたくなかった。


仕事でしか関わらない人と、在宅が続き親しくなるきっかけもほとんどない中で(特にコロナ時期に社会人になったこともあり)、会社の人との会話はとても他人行儀で、疲れてしまう。相手が何考えているかわからないし、相手も自分が何考えているかわからない世界って、友達や家族と居る時とかけ離れすぎて、たまに知らぬ間に心がすり減ってる時がある。


なんとなく観始めた『エイスグレード』の主人公ケイラは、学校ではいつも無口で暗くて友達もいなくて(学校でもデリカシーのなさ過ぎる”一番無口で賞”に選ばれちゃう)、そんな自分が嫌でたまらなくて、変えたくてでも無理で。


家に帰ってくると、Youtubeには誰かにアドバイスする形で「Be Your Self! (ありのままでいて)」とか、「Put yourself out there.(怖くても、勇気を出して、自分がいつも行かないようなところへ行ってみて)」みたいな動画を作ってアップしてる女の子。(動画の撮影を終えた瞬間、一人真っ暗闇の部屋でパソコンのブルーライトに照らされてるカットが映されるのも苦しい。)きっとすごく自分の中にアイディアがあって、自分を変えたいっていう意思もある賢い子。(部屋には自己啓発するような目標を書いた付箋がびっしり貼ってある・・・痛い、わかる、やってた。)


ひょんなことから人気者の女の子のプールパーティーに行くことになったのだけど、(話題のプールシーン)やっぱり居心地が悪くて傷ついて。(プレゼントを渡すシーンで、ライムスター宇多丸さんのラジオで言われてたけど、誰もがどこかで体験している”大勢で盛り上がってる時何を言ってるか聞こえない、聞いてもらえないくらいの声でパクパクしたり話を合わせて笑う痛い自分”)あとあの教室の一部の男子がもう本物すぎて・・・デリカシー皆無で、まだ子供で、だけど性的にはませてて、ゲームのことしか考えてない。自分の気持ちを表現する方法もわからない。(ってライムスター宇多丸さんが言ってた)


アメリカでは「エイスグレード(8年生)」は中学2.3年にあたる年で、高校へ1日体験しに行くイベントがあり、そこでペアになった高校のお姉さんがめちゃくちゃ優しくてフレンドリーで、携帯のナンバーもゲットして、遊びに誘ってもらい、携帯を投げ出すほど喜ぶんだけど・・・結局行ったら行ったでなんか大人な会話についていけないし、笑うタイミングもわからないし逆に”一人”に感じてしまう。帰り道のシーンはアイツが絶対に悪いんだけど(サイコだったよ)、その場をやり過ごすために笑うしかできないくて、あとでその分傷がくっきり残ってしまって、家で泣くしかない。


相対的孤独って一番辛いし、惨めだし、でも社会に出なかったら殻に閉じこもることになって、自分以外を知ることができないからなんとか出る、出たいとも思う。でも実際社会に出ると相対的、人と比べる状況に常にさらされる。(今まではそれが学校とかだけでよかったのに、今はインスタがあるから家にいてもそれが起きる。)自分はこんなクールな親友がいるよ、彼氏がいて私幸せっぽいでしょ、私の生活は常に華やかで、クールな友達もいて充実していて・・・的な空気。


でも自分にはいない。

毎日一人で動画を撮り続けて、それでも自分を保とうとして、でもうまくいかない事ばっかりで、同じ学校の、同世代の子達の評価が全てなのに、いくら親に「お前は特別、お前はクールだよ、親だから言ってるんじゃない。」なんて言われても信じられるわけない、学校やせいぜい自分が住む町での世界が全てだから。ずっと痛くて、うまくいかなくて、ありのままのお前を受け入れろなんて言われてもできてたらとっくにやってるよって。そんなケイラは、自分みたい。


別にケイラのような子供時代を過ごしていないけど、自分への捉え方、自分の生活や、「クール」への捉え方。自分がどうしようもなく孤独で、他の人は違くて、惨めに感じる仕事終わりの一人で食べるご飯。


でも、違うのよ。

23年も生きてると8年生のケイラよりはわかるけど、本当に、星の数だけ人間がいるこの世界で(それは嘘かも)、自分を見つけてくれる人(それが、心から気があう笑いのツボがあう親友とか、自分の恥ずかしいことまで可愛いと思ってくれる恋人とか、会った瞬間にビビッとくる友達とか、なんでもいいけど)がいないわけはなくて、今いないだけで、今会ってないだけでこの世の終わりではないし、今いないことが、自分が「イケてない」という理由にはならない。ケイラの良さがわからない人しかいない小さな学校の世界だっただけで、友達だって彼氏だって、いつでもどこにでもその人が自分を見つけてくれる(自分が見つける)タイミングはゴロゴロある。それがない間は負け犬みたいな気分だけど、この事実を知ってれば今の自分を無駄に否定したり変えたりしなくていいはず。よく「みんなが」っていうこともあるけど、みんなって誰。みんなって結局は誰でもないと思う。最後の動画で高校を卒業した自分へのメッセージで「元気にやってる?友達や彼氏がいたら、大切にしてね、まあ、いなくてもいいけど」って少し吹っ切れたような表情の彼女が救われる。


10代の時のあの独特の気持ちや悩みが蘇って、そして大人になった今も結局同じことで悩むことがあって泣いてしまった、ケイラは一人で不器用でも半歩進んで立ち止まって半歩進もうとしてる、強い、美しい、生き方がずば抜けてる!心のささくれも、淀んだ空気もなくなった。


この映画を制作してるA24のポッドキャストで、自身がユーチューバーでコメディアンでもあるエイスグレードの監督が、ムーンライトの監督とこの作品について話してる回が面白い!生まれて当たり前にスマホが存在していたZ世代と言われる世代の10代子達は、有名人でもないのに、自分自身のこと、人生で起きていること、自分がどんな人かを、常に人に発信することが普通だけど、まだ人格も形成されていないし自由もないし自分の体(ケイラの顔のニキビや、少し肉付いた体や、猫背で自信のない歩き方はリアルだったーーー)や生き方を誰もわかってくれないし迷いまくるし・・・っていう10代の時期にこれを求められるってどんなストレスだろう。不器用でストレスもコントロールできないし、不安になることも多い監督(男)が作った、それでも全く「ズレていない」リアルな14才の思春期の女の子。大人って中身はずっとここにあると思う。こんな痛いけど優しい映画が存在することが嬉しい。「レディーバード」や「Waves」などこの時代の奇跡みたいな素敵な作品ばかり残すA24に愛を込めて。

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