精霊流し
時々じいちゃんの声を思い出す

子どもの相手は上手ではなかったけど
優しかった
入院したじいちゃんが
身体を拭きたいと
私が看護師さんを呼ぼうとしたら
『花ちゃんでもよか』と言った
私のこと花ちゃんって呼ぶんだって
少しびっくりして嬉しかった
温かいタオルをもらって
やり方が分からなくてそのまま拭こうとしたら
タオルめっちゃ熱かったようで
じいちゃんが飛び上がった
超申し訳なかったけど
あの躍動感を見たら
じいちゃんがすぐに亡くなるなんて
思えなかったなー
じいちゃんの最期は家に帰れた
ばあちゃんが、
とっても大きな深呼吸を最後に一回したのを見た
ばあちゃんはじいちゃんの事が大好きだったから
それから明らかにボケた
ばあちゃんは私の事も忘れた
じいちゃんはまた来年帰ってくる
ばあちゃんには見えてるといい
