
じんわりと汗をかいて、めざめる朝が好きだ
こもる熱気を冷房で冷ませば、なんだか空気までよみがえった気になってしまう
家の中の空気はそうやって暖められて冷まされて、繰り返すうちにきっとそれは私が吸いたい空気ではなくなるから、窓はこまめに開けろと脳が言う
私の身体から逃げていく水を、うわべに補給するのはな、と。水をごくごく飲んでいた
夜はウィスキーのソーダ割りを飲んで、朝は水のお湯割りを飲む
私の住む建物に住む鳩に、毎朝挨拶をする「うちのベランダにくるのはだめだからね」
セミが鳴けば近くの木に視線を移し、この薄命の大きな虫を嫌いだとは言えない
青々と茂る木を見上げ、片手を木漏れ日に透かせて微笑む。だなんて、そんな恥ずかしいことできない
ようこそひんやりとした箱の中へ
16階の窓からゆっくりと大きな入道雲が流れていく、気が付くとそのかたまりはどこかの果てへ移動し、また違う雲がゆっくりと私の目の前を通り過ぎる
働いている、という自尊心。見せびらかす相手はいない
湿気が肌にまとわりつく、冷房でつめたくなった頬がじんわり温まるのが心地いい
「ぜんぶ夏のせいだ」ドジもマヌケも気の迷いもうっかり許される季節
動画を見ながらうたたねの21時、本を読みだす朝4時。テレビのリモコンをしばらく見ていない
優しい人からの「おはよう」のスタンプ
寝覚めに大きく伸びをする
今日も空に届きそうだ
