
明日の手荷物を確認していたら、ハンカチだけはなにか特別なものを鞄に忍ばせておきたいなという心境に駆られた。
そんなとき、すぐ脳裏からコネクトされたものは昨年友人からいただいたある「紙袋」にあった。
半年ぶりの開封。
思い起こされた、あの日交わした友人との会話。
「これはふたつあるんです。佳蓮さんお好きな方お取りください。もう一方はわたしが持っています」
このご時世。これほどまでにエレガントな言葉でプレゼントを差し出していただいたことはなかったし、「あなたと揃いのものを持ちます」というメッセージ含む誘(いざな)い方がとってもすてきで、女が女に惚れる瞬間があるならばまさにこれだと思ったときでもあった。
わたしはこのハンカチを目にした途端、一目で虜になり、今すぐにでも使いたい、そんな心境に駆られた。
しかし、よくよく考えた結果、これは人生が、暮らしが、生き方が、毎日が、変化することを試されているとても心許なく頼りなきその瞬間にこそ持ち歩く意味があるハンカチかもしれないと認識した。
明日いや本日は、見ず知らずの大人たちと「はじめまして」を交わし、且つ自分のヒストリーについてすこしばかりプレゼンテーションしなければなるぬ日。
そんな日。だからこそ、すぐ手に届く場所に、自分が望む限り励ましを与えてくれるアイテムが欲しいと思った。
それがこのハンカチでした。
さて、頑張りますか。
なんだかこのハンカチがあれば、明日もし残念な結果に見舞われても「どうってことない」と思えるような、そんな気もするんです。