
しかし「平成の大晦日」だなんてうまいこと言うよね。
4月29日のことを平成イブとかいってる若者もいたよ。
みなさま言葉遊びがお上手で。趣があって佳きことでござんす。
さてさてわたくしにとって2019年4月30日は、いつもと変わらぬ一日でした。
平成が終わるなんてなんのそのとなにくわぬ顔をし、いつもどおり自分で淹れた不味いインスタントコーヒーを飲みながら、キーボードと戯れていました。
「書くとき」と名付けたiTunesの自作プレイリストなんか聴きながら。
なんせ納期当日だったものですから、狂気の沙汰とばかりに目を爛々とさせ「あー間に合わない」「あー間に合うかも」「やっぱだめかも」「いや間に合うぞこれ!」「あーここ違う直しじゃん!」「あーいける?いけちゃう?いけるか?」なんてひたすらに胸のうちで繰り返し、時にシャウトしながら書いておりました。
しきりに葉加瀬太郎の『情熱大陸 2007』ばかりリピートしてね。
おかげさまで、22時45分に今月のラスト受注分を納品することができまして。
納品の報告が済んだときは、ただただ間に合って良かったと、クライアントの皆さまにご迷惑をお掛けすることに至らず安堵だと、ありがたやだと、思っていたわたしなんですけど、改元の瞬間も見届け1時間半ほど過ぎた今。
遅れてやってきた出所不明の感慨深さとやらの正体を突き詰められずにおります。
これがいわゆる平成ロスってやつなんだろうか。
いや違うな。
平成という、自分が生を受けた年号の千秋楽に、幾度となく夢見続けたライターという生業を全うできる環境に身を置かせていただいたこと。
そしてこの日製作していたものがこの日のうちに完成できたこと。
きっと出所不明の感慨深さとやらの正体はこれでしょうね。
平成最後の日に、なにかしら文字で出産できたことがつまりわたしは感慨深かったんだと思います。
明日は、昭和から平成、平成から令和、と改元の瞬間に二度立ち会っている祖父の誕生日プレゼントを買いに街へ繰り出します。
合間あいまに、読みかけの山田詠美『4 Unique Girls 人生の主役になるための63のルール』を読んだり、デパートのコスメカウンターを冷かしたり、ときどき「やりたいこと」のリストを頭の中で作成したりなんかして。
それでも、明日もきっと、いつもと変わらない日でしょう。
結局のところ、いつもと変わらず、わたしは書かずにいられない一日を送ることになりそうです。