
高校を卒業して2週間後、2017年3月。25時間の成田、台北、ドバイの飛行機を乗り継いで、私は南アフリカにいた。
旅行で海外は沢山行ってきた方。
英語の喋れる友達は沢山いた。
でも、海外生活は2ヶ月以上したことがなかったし、英語も中学生程度。もちろん1人暮らしも初めてだった。
それでも、行きの飛行機では不安より喜びが大きかった。
高校2年生の時から南アフリカに憧れて、日本での大学受験の道を辞めて来たからだ。
南アフリカに行った日本人なんてほとんど出会ったことがなかったし、ネットで探しても情報はない。危険と言われたし批判の声も沢山あった。それでも飛び立った自分が誇らしかった。
飛行場に降り立った時、空から壮大で綺麗な海を見て、実感と感動で嬉しくて涙が出た。
空港では、これから通う語学学校の方がアパートまで連れて行ってくれる約束だった。
けれど、30分経っても、1時間経っても誰もこない。Wi-Fiも飛んでいないし、ケータイも使えない。
周りで誰かを待っていたガイドさん達もほとんどいなくなった頃、やっと迎えの人がきた。
全然悪びれる様子もなく、しれっと車に乗せられた。これが初めて「アフリカンタイム」に触れた瞬間だった。
寮に着くと、土曜日なので管理人の人はお休み。代わりに誰か(後にも先にも彼には2度と会わなかった)が部屋まで連れて行ってくれた。しかし、寮のエントランスは指紋認証(ここはハイテク)のため外には出られない。
時刻は夕方4時。南アフリカは夏の終わりでまだ空も明るい。
今日は土曜日だから管理人が来るのは明後日?
食べ物も飲み物も何も持ってない。
ケータイも使えないから誰とも連絡ができない。
シャワールームの水は出るけど、水は飲まない方がいいって聞いてきた。
どうしよう????
それでも、長旅で疲れた体にシャワーを浴びせ、お湯が出ることに感動して(アフリカ舐めすぎ)、窓から夕日を見て、幸せな気持ちでその日は寝た。
これが憧れの南アフリカでの生活が始まった日。