12月3日(月)
彼に嘘ついてる。
彼は愛情表現豊かなほうで、
「今まで出会った中で一番だよ」
「大好き」
「いつもそばにいれて幸せだな」
っていつも言ってくれる。嘘っぽいなと前はこっそり思ったりもしたけど、何の照れもなく 優しい笑顔とホッとする声色で言ってくれるからそんな疑いはもうない。日本人男性は、“言わなくても伝わるだろう精神”を持ってる人が多いのに、彼はもしかしたらどこかでイタリアの血が混ざったのかもな。
だけど、そんな彼にもわたしの秘密は話してない。
話せない。
わたしには3年間片想いをしてる人がいた。もちろん実りなんてしなかった。普通は、お付き合いをして別れて でも忘れられなくて…というのが多いと思うけど、わたしは 片想い が忘れられない。片想いだからこそなのかな。叶わなかったから一番近くでその人のことを知れたわけじゃないし、その人の裏の面も知らないし、苦手ではないけど好んでは食べない物も知らない。よく知らなかったからこそ、知らない面が多すぎるからこそ、わたしの中に居続ける。実らなかった恋を今もずっと抱えてるなんてばかばかしいと思うよね。だけど、わたしにとって あのときがいちばん恋をしてた。ほんとの恋をしてたの。恋をしてることが純粋に楽しくて、顔がわかるかわからないかくらい遠くでも 見れただけで胸が高鳴り、その人からのLINEが返ってくる時間にさえ一喜一憂した。もちろんトーク履歴なんて消せるわけない。宝物なの。今はその人への感情は恋とは違うかもしれない。だけどその人以上なんて現れるわけない。他の人と比べてるわけじゃない。比べなくてもわかってるもん。
と、そんなこと 今の彼に言えるわけないよね。彼を好きな気持ちに嘘はない。でもわたしにとっては一番ではないの。
おねがい。
「一番」という言葉をわたしに贈らないで。わたしはその言葉へ返すたび、嘘をつくことになる。
これは優しい嘘ですか。ずるい嘘ですか。
傷つける嘘ですか。喜ばせる嘘ですか。